子どもの頃からこのお屋敷が苦手だった。

部屋を埋め尽くすモノたち
愛られることなく閉じ込められたままの人形
使われることのない大量の食器

目が合うと語りかけてこられる気がして
なるべく見ないようにしていた。


この家で暮らすようになって
それは顕著だった。


モノはヒトの役に立ってこそ本来の役目を果たすことができる。

誰かに身につけてもらう
誰かの生活に溶け込む
誰かに愛てもらう

そんな機会をいつでも待っている。


お屋敷のものたちは、暗くて冷たい戸棚の奥に仕舞われ
その存在すらも忘れられているようで
早くここから出して、と
いつも私に語りかけてくるのだ。

誰かの役に立ちたいのに、と。


誰かに愛されたいのに、と。

♦︎管理人について
普段はライターとして記事を書いているアラサー。
20代前半で目覚め、スピリチュアルの活動として霊視なども行なっている。

色々あり、お屋敷で暮らすことになり出戻りしてきた。
引っ越して1-2週間は先祖に枕元に立たれ眠れない日々を過ごす。

この家を片付けることが使命だと奮闘していたため
祖母と衝突し続けてしまい

祖父に「お前にはなんもしてやれんかった。どこも連れて行ってあげれん、何も買ってやれんかった。
なんも残してやれんかった、孫孝行してやれんかったから
せめてこの家で好きに過ごしなさい。」と諭され
“孫”をすることにした。

とはいえモノの声は入ってくるので
少しずつ片付けることにした。

♦︎お屋敷について

昭和の時代に祖父が建てたお屋敷。
祖父は管理人が小学校に上がる前に重大な病気で亡くなった。
以来20年以上祖母が1人で暮らしている。

元より買い物依存や溜め込み癖のある祖母で
生前は祖父が片付けていたようだが追いついていなかったようだ。

開かずの扉がいくつもあり、まだ未開の場所もある。

♦︎お譲りの品について

著しく損傷が激しいものなどは“生まれ変わり“のために処分という選択をとっていますが

まだ役に立てそうなものや、モノ本人がそうしたいと望んだモノをお譲りに出しています。
ずっとしまいっぱなしのものがほとんどです。
状態などを加味してお迎えいただけると嬉しいです。

仕入れなどは一切行っておらず、
全てお屋敷に眠っていたお品物たちです。
お屋敷が片付けば、店じまいとなります。
あしからず。